瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック会長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。2023年12月より現職。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_062021年 どうなる転職動向(2)・・・初夏にかけて徐々に回復か

日本政府は、医療供給体制が逼迫し続けている事から、緊急事態宣言の延長を決断しましたが、新規感染者は確実に減少してきております。前回のコラムで述べた通り、セクター毎や企業規模毎の雇用環境のバラツキは大きいですが、全体的な回復は思った以上に早いと思います。加えて、そのバラツキは、同じ業界・セクター(例えば建設業界)の中でも大きくなっていると感じています。

(1)新卒採用や若年層採用の悪化が長期化

前回のコラムでも、この悪化傾向は2022年までは続くと予想しましたが、リーマンショックと同様と考えれば全体的回復には5年程度かかるとの予測もあります。

(2)転職停滞(労働移動の停滞)

元来環境変化を好まない日本人特有の問題でもあるかもしれません。IT分野やDX進んでいる雇用吸収力のある業界・職種への転職(業界・職種をまたぐ転職)が進んでいません。
結果、「求人倍率は高いが人材不足」と「求人倍率は低いが人材余剰」の業界・職種に2極化しています。更に、このバラツキはDX対応の程度により、同じ業界・職種の中でも広がってきています。

(3)即戦力の厳選採用化の動き

未経験者を採用して育成するより、自立自走できる人材を求める傾向が強くなってきています。背景には、コロナ禍によりリモート勤務が進んだ事が挙げられます。今後は成果で処遇される傾向が強いジョブ型雇用導入が進むと思います。「即戦力採用」→「成果で処遇」の流れは加速するでしょう。


建設業界も、即戦力・厳選化の動きが顕著となっております。GW明けから転職市場は徐々に回復し、求人倍率はある程度高止まりするも、労働移動が進まず就業者数の減少と高齢化が益々進む結果となるのではと予想してます。企業側も「企業高齢化」を危惧してか、ここにきて、経験があり即戦力であっても中高年採用は厳しくなってきています。

また、同じ建設業界の中でも、DXによる生産性向上、建設現場の工場化、i-Construction化といった動きへの対応によっては、求める人材も変わってきています。実際、これらのキーワードに絡めた求人依頼が増加してきていると感じています。
結果、建設業界の中でも、企業間の差は確実に広がっていると思います。また、企業規模やその歴史によらず、新たなゲームチェンジャーが異業種から発生する可能性も出てきています。その点で、今以上に視野を広げて企業研究する必要性があるでしょう。

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