瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック代表取締役社長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_052021年 どうなる転職動向・・・コロナダメージからの回復は?

(1)景気回復はコロナ次第だが・・・建設業を取り巻く業界動向は?

2021年の景気回復は、コロナウイルスの収束次第となりますが、治療手法の確立やワクチン接種の開始、それと季節要因を考慮すれば、初夏前には回復していくだろうと予想されます。セクター毎や企業規模毎にバラツキは大きくなりますが、全体的な回復は思った以上に早いかもしれません。
ホテル(宿泊)・飲食といったホスピタリティ業界は相変わらず厳しい状況が続くと思われますので、ホテルや商業施設といった建物用途の回復には時間がかかりますが、DXに関連する物流・データセンター・生産施設といった建物用途は順調に推移するでしょうし、オフィス需要も回復(在宅勤務からの寄り戻しもあり)していくと思われます。マンションも回復の兆しが出てきています。但し、建設業界の景気動向は全体的にマイナストレンドにありますので、以前の様な状況まで回復する事は難しいでしょう。
土木を中心とした公共建設投資は、国土強靭化の5カ年計画(2021~25年度、15兆円規模)で、今後も堅調に推移すると思われます。

(2)在宅勤務からの寄り戻し・・・

ある調査によれば、コロナ禍における在宅勤務の生産性は、職場勤務に比べて平均で3~4割低いそうです。コロナ感染抑止の為に半強制的に実施された在宅勤務であった側面が強いからです。また、自宅の情報通信インフラが進んでいない日本では、コロナ前から在宅勤務していた人でも在宅の生産性は2割程低いとの事です。
今後は在宅勤務の適切な運用が課題となります。職場か在宅の二者択一ではなく、それぞれの長所・短所を考慮して業務の性質に応じて使い分けていく事になると思います。完全在宅は例外的で、在宅勤務可能な人でも週2~3日は職場に出勤する形が主流になるのではないでしょうか。
採用の現場でも、入社後の受け入れ研修やOJTへの弊害が出ており、在宅勤務からの寄り戻しが起きると予想しています。

(3)厳しくなる新卒採用と転職停滞の問題

新卒採用については今後益々悪化すると予想されます。大卒就職率は2019年の78%をピークに、2020年は10年ぶりの低下となりました。この悪化傾向は、コロナ禍によりより急激に2021年と2022年は続くと予想されます。高卒就職率は、言うまでもなくそれ以上に悪化してきてます。

中途採用についても、転職停滞と言う問題が起きており、国内の労働移動が停滞してきています。コロナウイルスの感染拡大で飲食業などの雇用は縮小していますが、ITなどの雇用吸収力のある業種もあります。求められる知識や技術の違いがあり業種をまたいでの転職はなかなか進んでいません。特に日本においては、職業訓練・雇用政策の不備もあり、この現象は顕著です。
転職求人倍率・就業者数の悪化については、コロナが直撃した飲食・小売り・宿泊といった業種に目が行きがちですが、実は建設業についても、このコロナ期間中、就業者数は減少しています。また、建設業界としては、まだ雇用吸収余力はあるものの、即戦力を求める傾向にあります。未経験者・他業界経験者を採用するのは可能だとしても、OJTの負担が大きく躊躇してしまうからです。今後、ますます、即戦力・厳選化の動きが顕著となっていくでしょう。GW明けから転職市場は徐々に回復し、求人倍率はある程度高止まりするかもしれません。ですが、労働移動が進まず就業者数の減少と高齢化がさらに進む結果となるのではと予想してます。

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