瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック会長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。2023年12月より現職。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_22再生可能エネルギー事業からマネー逃避・・・特に洋上風力発電事業に逆風

世界の再生可能エネルギー関連株から投資マネーが流出してきてます。資材高や金利上昇による急速な業績悪化が次々と表面化したためです。買取価格の引き上げは容易ではなく、稼ぐ力が低下するなか、脱炭素の流れで高まった成長期待が揺らいできています。

これまで再生可能エネルギー事業では、規模拡大による量産効果で単価を下げ、さらに事業を拡大する好循環が続いてきました。発電事業所はコスト縮小を見込み、建設前の段階で固定価格での長期の売買契約を結ぶケースが多かったのですが、足元の金利上昇や資材高で建設の進捗や採算が悪化してきています。更に多額の借り入れの返済コストも膨らんできています。

特に、洋上風力には逆風が吹いています。太陽光等の再生可能エネルギーと比べて、部品点数の多い洋上風力はサプライチェーンが広範にわたり、事業費も巨額で、インフレの影響を受けやすいと言われています。特に米国の状況は苦しく、事業撤退が続いています。スウェーデン、イギリス、ノルウェーでの洋上風力についても、同様に事業撤退や建設の無期限の延期が続いています。

一方、日本においては、低金利政策により金利高の影響が限定的で、売電価格が欧米に比べて高い事情もあり、投資意欲は依然として旺盛ではありますが、世界的インフレの影響(多くの部品を海外に依存している現状があります)や今後の金利の見通しを考えると、これからの投資・建設はかなり難しいものとなるでしょう。

Backnumberを見る