瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック会長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。2023年12月より現職。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_17中高年の報酬、抑制加速・・・年功序列型賃金体系の崩壊、転職しないリスク

企業が若手の賃金配分を手厚くする一方で、中高年の賃金は抑制傾向にあります。

年齢や勤続年数が上がるにつれ賃金が右肩上がりに上昇する、所謂「年功序列型賃金体系」が既に崩壊してきてると言っていいでしょう。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、年収が増加しているのは29歳以下だけで、30歳以上は軒並み減少となっています。特に50~54歳の減少幅が14%減と最大となっています。背景にあるのは、
①若手に分があるITスキルの高い人材の確保が急務である、
②事業の継続性の点から若手の確保が優先される(平均年齢の高さは企業の将来性にとってマイナス)、
③ジョブ型雇用制度導入の広がり(職種や成果で評価されるの慣れていない中高年には不利)
という事が挙げられます。この中高年層における賃金抑制とそれによって発生する賃金格差は今後より広がる一方と考えられます。

一方で前向きなデータもあります。中高年層の転職が増加しており、転職による賃金減も減少してきているというデータです。一つの会社で長く働いた方が有利という状況は変化しつつあると言っていいでしょう。転職しないリスクの方が高まってきているとも言えます。

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(コラム「瀧嶋の目」は、毎週木曜日に更新します。お楽しみに!)

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