瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック会長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。2023年12月より現職。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_13労働供給力不足問題・・・このままだとインフラは維持できない

前々回のコラムで労働供給力不足問題に言及しましたが、インフラを支える建設業はより深刻な問題と捉えるべきでしょう。

国内の建設投資額はここ30年で30%減少してきています。しかしながら、高度経済成長期以降に整備された社会インフラの老朽化は進んでおり、これから加速的に更新が必要となります。例えば、全国にある約72万カ所ある道路橋梁のうち、建設後50年経過した割合は、2019年の時点で27%もあるのです。さらに、2029年には、52%に上昇すると言われています。

これは、トンネルや港湾岸壁、水門といった河川構造物も同様です。このままだと社会経済活動に大きな支障をきたすのは明白です。その為、政府予算の優先順位も高く、民間建設投資の縮小を幾分かカバーする事にもなるでしょう。

一方、生産年齢人口減少以上に建設業界での就業数は減少してきています。その上、他業界より進んだ高齢化が拍車をかけています(60歳以上の就業者が25~30%占めるとも言われています)。政府の推計値によれば、2040年には、就業者の約4割が減少するとも言われているのです。

不人気職種からの脱却がなければ、就業者が加速的に減少し続け、インフラも維持できなくなるという現実が待ち受けています。 --
(コラム「瀧嶋の目」は、毎週木曜日に更新します。お楽しみに!)

Backnumberを見る