瀧嶋の目Takishima's Eye

瀧嶋 誠司
(株式会社オズペック代表取締役社長)

大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)

#_specialBIMへの取り組みは大きなチャンス
積算のエキスパートである川村積算が描く未来の建設業界とは

COMPANY DATA
株式会社川村積算

株式会社川村積算

https://kawamura-sekisan.co.jp/
設立
1967年(昭和42年)
資本金
2,555万円
従業員
37名
執行役員3名 社員34名
(男性30名・女性 7名)
建築積算士(28名)
建築コスト管理士( 6名)
一級建築士( 1名)
一級建築施工管理技士( 1名)
二級建築士( 3名)
平均年齢37歳(2021年4月)
事業内容
建築積算業務
建築コストマネジメント業務

1965年創業の株式会社川村積算。建築物の設計図書を基に、材料の数量を正確に計測し見積りを算出する「積算」のエキスパートとして、これまで多くの顧客の信頼を勝ち得てきました。

主な実績としては、「東京スカイツリー」「新国立競技場」「六本木ヒルズ」などがあり、名だたる建築物に携わっていることがその信頼の高さを証明しています。

2021年、川村積算は東急建設グループに参画。
建設業界のIT化の流れの中で、建設プロジェクトの統合システムBIM(Building Information Modeling)にも対応できる体制を整えました。

今後大きな変化が予想される積算業界において、どのような人財戦略を描いているのでしょうか?代表取締役である川村真志氏と専務取締役である加藤俊明氏にお話を伺いました。


代表取締役社長川村 真志


専務取締役加藤 俊明

1965年創業。積み重ねてきた顧客との信頼

瀧嶋:
はじめに、御社の概要を教えていただけますでしょうか。

川村氏:
1965年に、私の父が仲間達と三人で市ヶ谷に創業した会社です。父はもともと防衛庁で働いていたこともあり、当初は役所の仕事がメインでした。その後、民間にも業務を広げ、社員も増えてきて、現在に至っております。

積算業務とは、建築物の設計図書を基に、材料の数量を正確に計測し、その総工事費を事前に予測(積算)する仕事です。受注する建築物は多種多様で、その度に新しい知識を得ることができます。

主な実績としては、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン、東京スカイツリー、新国立競技場、渋谷ヒカリエなどがあり、皆さんよくご存知の建築物に数多く携わっています。年間300〜350件ほどの受注があります。

新国立競技場の積算業務にも携わる

瀧嶋:
御社の強みはどこにあるとお考えでしょうか?

川村氏:
我々は、長年積み重ねてきた顧客との信頼関係で成り立っている会社だと思っています。顧客に満足いただける仕事をすることが最終的な目標です。そのために、社員の経験やスキルを上げ、積算業務の精度と完成度を高めることに一番の力を注いでいます。

瀧嶋:
残業や有給休暇取得など、社員の皆さんの働き方はどのようになっていますか?

川村氏:
残業は今、本当に減ってきています。法律も変わり、社員の残業に対する意識がかなり高まっているのは確かですね。また、満員電車で通勤しないで済むように時差出勤や在宅勤務も実施していまして、みんなメリハリをつけて働いてくれています。有給休暇は、仕事に影響がなければ、特に遠慮することなく取れる雰囲気ですね。

我々は顧客との信頼関係で成り立っていると語る、川村社長

東急建設グループに参画し、BIMに取り組む

瀧嶋:
2021年、御社は東急建設グループに参画しました。この狙いを教えてください。

川村氏:
私が父から事業を受け継いでもう20年になりますが、長い間、後継者問題に頭を悩ましていました。また、IT化の流れを受けて、今後大きく変わると予想される積算業界において、会社をどのように変革していくかも大きな課題だったのです。BIMへの対応も急務でしたが、積算事務所単体では、なかなか難しいのが現実でした。

そんな中、M&Aの会社からお話をいただき、しばらくして、その相手が東急建設様だと分かりました。私どもは真剣に、できればこの先一緒にやっていきたいと思い、話をまとめてもらったという流れになります。

瀧嶋:
社員の皆さんも前向きに捉えてくださったようですね。

本名氏:
社員にいつ開示するかは、入念に考えましたが、2021年の仕事始めの1月4日に披露しました。おめでたい日ですし、この日が一番いいだろうと思ったのです。当初は動揺していた面もありましたが、東急建設様からもいろいろな説明をいただき、早い段階で落ち着いてくれました。安心して夢の持てる会社になったと思います。

瀧嶋:
人材の交流はいつ頃から始まったのでしょうか?

川村氏:
1月に開示して、もう新年度の4月から出向という形で人材交流が始まりました。出向社員は、新しい環境で新しい技術や仕事に携わるチャンスだと捉えてくれ、前向きに応えてくれています。

瀧嶋:
新しいチャレンジになりますね。

川村氏:
今までと同じことをやっていては、一歩先に踏み出ることは難しいでしょう。そのためには、新しいことにチャレンジする必要があります。今、一番積極的に取り組んでいるのはやはりBIMですね。東急建設様と共に業界第一位を狙って挑戦し続けています。また、積算業務、値入業務は現在でも行なっていますが、その人財をさらに育てることで、より多くの受注を目指していきたいですね。

加藤氏:
ありがたいことに、我々の品質の高さには、顧客の皆様から一定の評価をいただいてきました。それをベースにBIMへの対応を進めていきたいと考えています。BIMは一つの手段ではありますが、これからの大きなビジネスチャンスにつながると思っています。より付加価値の高いものを顧客の皆様に提供できるようになりたいですね。

BIMは大きなビジネスチャンスと語る、加藤専務

建設業界以外の人財も含め、多様な価値観を求める

瀧嶋:
となると、積算だけに限らず、より広い分野で活躍の場があるかもしれませんね。

加藤氏:
そうですね。建設業界もIT化が進んでいきますので、建設業界以外の人財も含めて、求めていく必要があるのかもしれないと思っています。

瀧嶋:
今後、どのような人財が必要になるとお考えでしょうか?

加藤氏:
これまで、若手を育てて一人前にしていくというのが当社の今までの流れでした。今後もそうしていきたいと思っていますが、理系、文系にこだわらず、多様な価値観を持つ方に来てほしいですね。

ただ、一番求められるのは「自立」だと思っています。仕事にも生活にも、何に対しても自立して取り組めているかどうか。そこに集約されるのではないかと思いますね。

川村氏:
今の若い方は、多くの情報をかなり早いスピードで取捨選択する能力がすごく高いですよね。専門的な知識も必要ですが、あらゆることを判断して結論を出すその能力をどのように活かしていくのかとても楽しみです。

専門的な知識はプロフェッショナルを目指す限り必要です。が、変化(進化)の激しい現状を鑑みると、これから共に学んでいけばよい。

必要なのは、スピード感をもって変化に対応していく事です。そのためには、建築やこの仕事の未来に興味をもつことができる人財に、来ていただきたいですね。

変わる積算業界。より高い付加価値の提供を目指す

瀧嶋:
AIなどの進化によって積算はどのように変わっていくとお考えでしょうか?

加藤氏:
もしかしたら、将来的には、積算はAIにとって変わられるかもしれません。今はまだそこまでいっていませんので、我々が汗をかく必要があるわけですが。

ただ、その先にもできることがあると思っています。顧客に満足してもらうのが我々の仕事です。顧客からのご要望に対し、どのように誠心誠意を持って対応していくのか。それを考えるのは、AIには難しいと思うんですよね。とはいえ、何がより付加価値になっていくのかは、これからの課題でもあります。

IT化によって変化が予想される積算業界
(写真はイメージです)

瀧嶋:
今、環境問題に大きな注目が集まっており、若い方の関心も高いです。積算業務において、果たせる役割などありますでしょうか?

加藤氏:
先日、米アップルは自社で利用するエネルギーをすべて自然エネルギーに切り替えていくと発表しました。そしてすべてのサプライヤーにもそれを求めると言っています。
日本においても、大手ゼネコンはCO2排出量に対し敏感になってきていますね。

我々は、建物を建てる前に、その建築に必要なすべての部材を取りまとめる立場にいます。なので、各部材や各作業工程がどのくらいCO2を排出するかも、同時に取りまとめることが可能な立場でもあるのです。
ただ、それをビジネス化するには、いろんなハードルがあって、現段階ではなかなか難しいのですが、その可能性を模索しているところです。

川村氏:
建設業界は裾野が広いですよね。多種多様な産業が参入して成り立っています。なので、それだけCO2排出量に対する影響は大きいと思っています。

最近ではZEB(ゼブ:Net Zero Energy Building)という概念も出てきています。エネルギー消費を減らし、エネルギーを建物から生み出すことで、エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。建設業界も、環境問題には積極的に取り組み始めています。

我々は、建物が建つ前にそれらを把握できる立場にいますので、社会に貢献できるところは十分にあると思っています。

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