この映画の題名を見てピンとくる方は、私と同じ世代、或いは年上の方かと思います。
往年のプロレスファンにはお馴染みのプロレス一家である、『呪われた一家』とも形容された『フォン・エリック家』の悲劇的な実話を基に映画化したのが本作です。
私は映画好きで有ると同時に、かつては大のプロレスファンでもありました。
金曜20時からは猪木率いる『新日本プロレス』、土曜20時からは馬場率いる『全日本プロレス』、マイナーではありますが、月曜20時からは、ラッシャー木村率いる『国際プロレス』のテレビ中継を、ほぼ欠かさず観ていました。
『世界のプロレス』?と云う番組も有りましたっけ・・・。
社会人になってからは、多忙なため、殆どプロレスを観ることも無くなり、徐々に興味は失せていきましたが、本作の公開を知り、郷愁の念?で観賞いたしました。
『アイアンクロー』(C)2023 House Claw Rights LLC; Claw Film LLC; British Broadcasting Corporation. All Rights Reserved.
1980年代初頭、元AWA世界ヘビー級王者のフリッツ・フォン・エリックに育てられたケビン、デビッド、ケリー、マイクの兄弟は、父の教えに従いプロレスラーとしてデビューし、プロレス界の頂点を目指していた。しかし、世界ヘビー級王座戦への指名を受けた三男のデビッドが、日本でのプロレスツアー中に東京のホテルで急死したことを皮切りに、フォン・エリック家は次々と悲劇に見舞われ、いつしか「呪われた一家」と呼ばれるようになっていく・・
私見ではありますが、本作はプロレスファンで無い方でも、家族ドラマとして、十二分に堪能できる作品に仕上がっていると感じました。
父親であるフリッツの家父長制の典型とも云える、強権的で保守的な頑固オヤジぶり・・一方で宗教にどっぷりと嵌まり、夫の傍若無人な振る舞いにも、殆ど意見しない母親。
その様な家庭環境でも、父親の教えを忠実に(盲目的とも云えますが・・)守る息子達が、健気であると同時に、痛々しくも感じられました。
然しながら、そのような状況下にあっても、兄弟間の絆はとても深く、その辺りの兄弟愛の描写演出、ならびに4人の兄弟役を演じた若手俳優たちの演技も(体の鍛え具合&迫力ある試合シーンも含め)、非常に見応えがありました。
私が何より嬉しかったのは、同時代のお馴染みのレスラー達が、次々と登場している事です。
ブルーザー・ブロディ、リック・フレアー、タッグユニットのファビュラス・フリーバーズ等々。
中でも、私が最もお気に入りレスラーの一人で有った、プロレス界の最高峰・当時のNWAチャンピオン、『美獣(ハンサム)』ハーリー・レイスを演じた俳優が、あまりにも似ていて、劇場の暗闇のなか、思わず失笑してしまいました。
ラスト・・エンドタイトルで、兄弟のなかでただ一人、いまも健在でハワイに在住している、ケビンの、孫も含めた仲睦まじい大家族の写真がでてきます。
20代で兄弟たちを次々と亡くし、絶望の淵に追い込まれたケビンが、いまは家族に囲まれ、幸せに暮らしている事を知り、なんだがほっとした気分にさせられました。
興味がある方は、是非ご覧ください!
ご一読いただき、誠に有難うございました。
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