#_13第96回アカデミー賞(2024年)7部門受賞【オッペンハイマー】を観賞しました

去る3月中旬に開催された米・アカデミー賞授賞式で、主要7部門(作品賞、監督賞、主演男優賞等)を受賞した話題作、ならびに問題作・・【オッペンハイマー】を観賞しました。
作品の内容から、日本での公開が危ぶまれる声も有りましたが、全米での記録的な大ヒットも後押しし、何とか公開に至った経緯が有るようです。

『ダークナイト』3部作、『インターステラー』、『テネット』等の作品で知られる映画監督、クリストファー・ノーランがメガホンを取っています。

題名の通り、世界初の原子爆弾を開発した『原爆の父』として知られる理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーの栄光と苦悩の半生を描いた伝記映画です。

第96回アカデミー賞(2024年)7部門受賞【オッペンハイマー】

簡単なあらすじ

第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加した理論物理学者、 ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。 しかし原爆が広島・長崎で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。

偏向的感想・見どころ

観賞後の正直な感想としては、3時間に及ぶ上映時間の長さ、作品テーマの重さ等に依り、どっと疲れた・・と云う印象でしたが、重厚で見応えのある作品に仕上がっています。

ノーラン作品の特徴とも云えますが、時間軸が縦横無尽に往来し、観る側を混乱させます。
また、登場人物の多さに加え、その人物たちが織りなす相関関係、戦後の米・ソに依る冷戦や、マッカーシズム(いわゆる赤狩り)をはじめとする複雑な時代背景等々・・これらを、予め理解していないと、難解且つ、極めて退屈な作品に感じると思います。

なお、広島・長崎への原爆投下の直接的な描写は無いものの、オッペンハイマーをはじめ、『マンハッタン計画』に携わったスタッフ達が、原爆投下成功の知らせを聞き、日本の降伏が決定的になった瞬間、狂喜乱舞して沸き立つシーンでは、私見ではありますが、日本人として不快に思わざるを得ませんでした。

然しながら、ノーラン監督が描きたかったのは、戦争を終結させるに至った『時代の寵児』を讃美、もしくは英雄視するのでは無く、むしろ、人類を滅ぼす力を持つ、『悪魔の兵器』を生んでしまった一人の科学者の苦悩と絶望感だったのでは・・と強く感じました。

出演者たちの熱演も見どころの一つです。
主役であるオッペンハイマーを演じ、アカデミー主演男優賞を受賞した、ノーラン作品の常連、キリアン・マーフィーの鬼気迫る熱演も見事でしたが、原子力委員長のルイス・ストローズを演じた『アイアンマン』でお馴染みのロバート・ダウニーJRが、野心たっぷりで粘着性のある、実に嫌味な人物を、老練な演技で巧みに演じ切っています。

しつこい様で恐縮ですが、未見の方は、前述の通り、予め時代背景、登場人物達の相関関係を把握されてから観賞される事をお勧めします!

ご一読いただき、誠に有難うございました。

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