#_11フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督の最新作【枯れ葉】を鑑賞しました

年が明け、作風が全く異なる、対照的な2本の作品を観賞いたしました。
1本目は、いまやハリウッドを代表する女優の一人とも云える、エマ・ストーン主演の『哀れなるものたち』。
2本目はフィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督の最新作『枯れ葉』です。

『哀れなるものたち』は昨年のベネチア国際映画祭でグランプリとも云える【金獅子賞】を受賞し、3月11日に授賞式が行われるアカデミー賞でも、11部門にノミネートされています。
主演女優であるエマ・ストーンの体当たりの熱演、名優ウイリアム・デフォーの怪演、ならびに映像美には魅せられましたが、性描写や暴力描写が多すぎ、私的には観終わって、たいへん不快な印象が残る作品でした。(作品の本質や主張したいテーマは理解できますが・・)

一方の『枯れ葉』は、暴力や性描写どころかキスシーンさえ殆どない、中年男女の出会いと悲哀を淡々と描いている地味な作品です。 特段、大きな出来事やドラマもなく進行しますが、独特の雰囲気と、主演男優・女優の自然体の演技も素晴らしく、見終わった後の余韻が心地よい、なんとも味のある、愛すべき佳作でした。。今回はこの『枯れ葉』をご紹介させていただきます。

フィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキ監督の最新作【枯れ葉】

簡単なあらすじ

北欧の街、フィンランドの首都・ヘルシンキ。スーパーに勤める中年女性・アンサは理不尽な理由で仕事を失い、建設現場作業員である中年男性・ホラッパは酒に溺れながらも、どうにか工事現場で働いている。ある夜、カラオケバーで出会った2人は、互いの名前も知らぬまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たして2人は、無事に再会を果たし、想いを通い合わせることができるのか……?

偏向的感想・見どころ

『枯れ葉』の監督、アキ・カウリスマキは2017年に引退を宣言していましたが、引退宣言を事実上撤回し、本作を監督した経緯があります。
前回の投稿(第10回)でも触れましたが、ドイツの映画監督・ヴィム・ベンダースと同様、アキ・カウリスマキ監督も、日本の名匠であった【小津安二郎】監督の熱烈な崇拝者です。

小津監督をリスペクトする世界の映画監督たちが、インタビュー形式で小津監督へのオマージュを語るドキュメンタリーをYouTubeで観ましたが、その中でカウリスマキ監督は小津監督の遺影を前に次の様に語りかけています。
『アメリカ映画の影響を受けて育ったわたしが、小津監督を尊敬するのは、人生の根源を描くとき、一度として、殺人や暴力、銃を使わなかったことです』

私も以前は、殺人や暴力や銃にまみれたアメリカ映画が中心の、『動』的な映画を好んで観ましたが、還暦も迫ってきた歳のせいなのか、はたまた心境の変化なのかは判りませんが、最近は『静』的な作品を観ることが多くなっています。

それから、わたくし事で恐縮ですが・・ラストシーンで、題名にもなっている名曲【枯葉】の音楽が流れてくるのを聞き、この歌を代表曲としていたフランスの歌手であり俳優・イヴ・モンタンの大ファンだった、一昨年に亡くなったお袋の事を思い出し、少々、ホロッときました。

興味がある方は、『枯れ葉』、是非ご覧ください。
ご一読いただき、誠に有難うございました。

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