昨年5月、国内でも大きく報道されましたが、カンヌ映画祭で、役所広司が主演男優賞を受賞した作品、【PERFECT DAYS】を先日、鑑賞いたしました。
『ベルリン・天使の詩』、『パリ・テキサス』等の作品で世界的に知られ、小津安二郎監督の熱烈な崇拝者である、ドイツの映画監督・ヴィム・ベンダース監督の最新作です。
ベンダース監督が渋谷区のトイレ改修計画「THE TOKYO TOILETプロジェクト」の一環として製作し、国内を代表する水廻り住宅機器メーカーであるTOTOが全面協賛しています。
当初は短編作品として製作する予定が、予てから役所広司とコラボの作品を撮りたがっていたベンダース監督の強い意向で、長編作品に変更となった経緯が有るようです。
東京・渋⾕でトイレ清掃員として働く平⼭は、静かに淡々とした⽇々を⽣きていた。
同じ時間に⽬覚め、同じように⽀度をし、同じように働き~帰宅後には銭湯に浸かり、風呂上がりには馴染の居酒屋で一杯やり、読書してから眠る・・・その毎⽇は同じことの繰り返しに⾒えるかもしれないが、同じ⽇は1⽇としてなく、男は毎⽇を新しい⽇として⽣きていた。その⽣き⽅は美しくすらあった。男は⽊々を愛していた。⽊々がつくる⽊漏れ⽇に⽬を細めた。そんな男の⽇々に思いがけない出来事がおきる。それが男の複雑な過去を浮き彫りにさせた・・
この作品は全編を通じて、劇的な展開や大きな山場は、最後まで訪れません。
前述のあらすじの通り、トイレ清掃員・平山の日常や、彼を取り巻く人々との交流が、淡々と、なお且つ、静寂のなかに描かれています。
観る人によっては退屈極まりない作品かもしれませんが、私的には役所広司の圧倒的な演技力に引き込まれ、最後まで飽きることはありませんでした。
役所氏が演じていなかったら、冗長で陳腐な作品になっていたかもしれません。
主人公の平山が無口な人物設定で有る為、必要以上のセリフを排し、その分、表情で心の有り様を、観客に如実に物語っています。
それから・・この作品は、主に主人公が居住する浅草や、職場でもある渋谷を舞台に描かれていますが、東京がこんなに魅力的な町だったのか・・と思わせる映像美にも魅せられました。
最後になりますが、モノや情報に溢れた現代社会の中で、自分にとっての心の豊かさや、幸せの基準とは何なんだろう?・・とも観終わって考えさせられる作品でした。
興味がある方は、是非ご覧ください。
ご一読いただき、誠に有難うございました。
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