#_09スペイン・フランス合作映画【理想郷】を鑑賞しました

最近、映画好きには、実りの秋~冬にて、毎週のように新作映画を鑑賞しています。
第4回のコラムでも触れた、名コンビ、ロバート・デニーロ&マーティン・スコセッシの新作(主演はレオナルド・ディカプリオですが・・)、【キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン】、渡辺謙も出演の、ハリウッド制作に依る人類対AIの闘いが勃発した近未来を舞台に描いたSF大作【ザ・クリエイター/創造者】。

日本映画では・・すこぶる評判が良い【ゴジラ-1.0】。
私見ではありますが、理屈っぽいシン・ゴジラより遥かに良かったです。
そして、北野武監督の『時代劇版・アウトレイジ』とも云うべき新作【首】等々。

この内、【キラーズ・・】については3時間40分と云う上映時間の長さには不満は有りますが、デニーロの徹底した悪者ぶりが真に迫り素晴らしかったので、機会が有りましたらコラムに書かせていただきます。

何れも話題作・問題作ならびに大作ではありますが、個人的には小劇場で観た、【理想郷】と云う映画が、一番、心に刺さりました。

スペイン・フランス合作映画【理想郷】

【理想郷】はスペイン・フランス合作に依る、2010年にスペインで実際に起きた事件をベースに映画化した心理スリラー映画です。
昨年の東京国際映画祭で三冠(作品賞、監督賞、主演男優賞)を受賞した、という情報以外は、殆ど予備知識、ならびに事前情報もないまま鑑賞しました。

映画好きとは云え、あまりヨーロッパ圏の作品を観ない私にとっては、監督名も役者名も、全く知りませんでした。
それ故に、先入観も無く鑑賞した結果、役者達の演技がリアル且つ新鮮に映り、作品に没頭できたのかもしれません。

簡単なあらすじ

フランス人の夫婦アントワーヌとオルガは、スローライフを求めてスペインの山岳地帯にある小さな村に移住する。しかし村人たちは慢性的な貧困問題を抱え、穏やかとは言えない生活を送っていた。隣人の兄弟は新参者の夫婦を嫌い、彼らへの嫌がらせをエスカレートさせていく。そんな中、村にとっては金銭的利益となる風力発電のプロジェクトをめぐって、反対を唱える夫婦と、誘致を推進したい村人の意見が対立していく・・

偏向的感想・見どころ

スペインのいかにも風光明媚な田舎が舞台となっていますが、この映画の核心は、現在、世界が抱える諸問題を鋭く照射していると云えます。

地方(田舎)の経済的な困難、閉鎖性、外国人排斥、利権争い、施設誘致と自然破壊等々・・容易に日本にも置き換えられます。

フランスから田舎暮らしにあこがれて移住してきた夫婦に対しての、村人たちの反応は、実に冷ややかです。
特に隣人である兄弟の嫌がらせは、夫婦の生計の糧である、町で売るトマトの栽培の為の貯水槽に、錆びたバッテリーを投げ込んだり、夜中に寝室をのぞき見したりと、実に陰湿極まりないものです。

このような蛮行は許し難いですが、一方で村人たちの心情にも共感できる点はあります。
風力発電のプロジェクトを誘致すれば、一時的に村が潤うにも拘わらず、リゾート気分で村に移住してきた『新参者』の夫婦が反対を唱えることは、娯楽も無く、朝から晩まで農作業や牛の世話に追われている村人達にとっては受け入れ難いと感じました。

最後に 、隣人の兄弟役を演じた二人の演技は特筆ものです。
粗野で野暮ったく、教養や知性とは縁遠い感じの人物像を、見事に体現しています。
興味がある方は、是非ご覧ください。
ご一読いただき、誠に有難うございました。

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