#_06名匠・バリー・レビンソン監督の新作【アウシュヴィッツの生還者】

新作【アウシュヴィッツの生還者】を鑑賞しました

相も変わらず、お子様向けの夏休み興行が続いている為、見たい映画が殆ど無いなかで、仕方なく?名匠・バリー・レビンソン監督の新作【アウシュヴィッツの生還者】を鑑賞しました。
人類の歴史上、最も悪名高いナチスドイツの強制収容所・アウシュヴィッツからの生還者、ハリー・ハフトの半生を、息子であるアラン・スコット・ハフトが綴った実話をもとに、『レインマン』でアカデミー監督賞を受賞した、バリー・レビンソンが演出したのが本作です。

名匠・バリー・レビンソン監督の新作【アウシュヴィッツの生還者】

簡単なあらすじ

1949年、ナチスドイツの強制収容所アウシュヴィッツから生還したハリーは、アメリカでプロボクサーとして活躍しながら、戦時中に生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため新聞社の取材を受けたハリーは、自分が収容所で生き残ることができたのはナチス主催の賭けボクシングで同胞のユダヤ人たちに勝ち続けたからだと告白し、世間の注目を集める。しかしレアが見つかることはなく、彼女の死を確信したハリーは引退。それから14年の歳月が流れ、別の女性と新たな人生を送るハリーのもとに、レアが生きているという報せが届く・・

偏向的な感想です

アウシュヴィッツ収容所における死亡者数については諸説があります。 戦後まもなく行われた『ニュルンベルク裁判』では400万人と認定されましたが、冷戦後の1995年には150万人、現在では110万人と修正されています。
何れにしても、おびただしい数の罪もない人々が、ガス室や人体実験に依り殺戮されました。

【アウシュヴィッツの生還者】の主人公、ハリー・ハフトがそのような状況下でも生き延びたのは、ナチス将校たちが主催する、賭けボクシングの試合に勝ち続けたからです。
同胞であるユダヤ人同士を戦わせ、試合に負けた側の人間は、その場で銃殺されます。

まるで・・ローマ時代の『コロッセオ』で庶民の娯楽の為に、奴隷同志が・・あるいは猛獣と戦わされたのと同じく、その背景には人間の尊厳や人命の尊さなどは微塵も感じさせない、非情な残忍さがあります。
主人公のハリーが、仲の良い同胞と戦わされ、号泣しながら相手に殴りかかるシーンでは激しい憤りを感じざるを得ませんでした。

因みに、主人公ハリーを演じたベン・フォスターが、すさまじい過去を背負った男の苦悩と葛藤を、抑えた演技で見事に熱演しています。

過ちは繰り返される・・

本作は約80年前に起こった悲惨な戦争に依る一介の市民の悲劇ではありますが、現在もウクライナでは同じ過ちが繰り返されています。
開戦から1年半以上経った今日も、停戦に至る気配はなく、連日ウクライナ、ロシア・双方の罪もない人々が、多数、犠牲になっています・・
毎日、そのようなニュースを見るにつけ、もはや・・他人事、遠い他国で起きている事、我々にはどうしようもできない事・・と考えてしまいがちです。 正直、私もそうです。

冒頭に、『見たい映画が無いなかで、仕方なく・・』と述べたのは、暗く・重いテーマの映画だったからですが、本作を見終わって思ったのは、無力な自分にできる唯一のことは・・現実に起きていることから目を背けずに、善悪も含め、自分なりに冷静に判断する思考を持つ・・と云うくらいの事でしょうか・・・上手くまとまらず、申し訳ございません。

皆さんはどう考えられるでしょうか?
ご一読いただき、誠に有難うございました。

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