#_03社会派の巨匠・シドニー・ルメット監督の問題作【セルピコ】

家族向け・お子さま向けの映画が多くなるゴールデンウイークから夏休み。
初老?の私としては特に見たい映画が無く、今回は時事ネタから旧作のご紹介をさせていただきます!

ハリウッド2大俳優のお騒がせ? おめでたニュース

今年の5月、ハリウッドを代表する二人の大物俳優、アル・パチーノ83歳、ロバート・デニーロ79歳が、共通の話題で芸能ニュースを賑わせていました。
それは何と!・・伴侶に赤ちゃん誕生と云う、おめでたいニュース!
二人とも老いて尚、ますますお盛ん!と云った印象ですが、1970年代〜90年代にかけての彼らの全盛期を知る世代の私にとっては、本業ではなく私生活での話題提供と云うところに、少々の寂しさを感じざる得ません。
二人の代表作・名作は多数ありますが、今回と次回に渡り私の【偏向的】お薦め作品をご紹介させていただきます!
先ずは、アル・パチーノから・・

社会派の巨匠・シドニー・ルメット監督の問題作『セルピコ』

『セルピコ』は1973年製作のアメリカ・イタリアの合作映画です。
主演のセルピコを『ゴッドファーザー・三部作』、マイケル・コルレオーネ役でお馴染みの名優、アル・パチーノが熱演しています。
ニューヨーク市警を舞台に、汚職と腐敗にまみれた警察組織の中で抗う、
実在した警官・フランク・セルピコの実話の原作に基づいて映画化されています。
『十二人の怒れる男』『ネットワーク』『評決』などで知られる社会派、シドニー・ルメット監督がメガホンをとった問題作です。

簡単なあらすじ

子供のころからの夢をかなえ、警察学校を卒業し念願の警察官になった新人警官セルピコは、正義感に燃えていた。しかし不正や賄賂が横行する汚れきった警察内部の現状を知るにつれ、その思いは潰えていき、組織内で孤立ししていく。
一部の上役の協力も有り、セルピコはニューヨークタイムズ社に、不正の顛末を告発する。
それに依り、裏切者の烙印を押されたセルピコは麻薬の取引現場で、同僚たちに嵌められ拳銃で撃たれたうえ、瀕死の重傷を負うことになる。
結局は警察を辞めざるを得ず、スイスに移住する事となる・・・

偏向的おすすめポイント

多少の脚色は有るにせよ、これが実話であった事実に、先ず驚かされます。
本来、麻薬の売人や、不正賭博を取り締まる側の警官や刑事たちが、それを見逃す代わりに、賄賂を当たり前の様に受け取り、組織的に分配しています。
上役や、警察署長だけでなく、警察を敵に回したくない市長も、見て見ぬふりです。
監督のシドニー・ルメットは、そんな腐りきった警察内部の顛末を、乾いたタッチでドキュメンタリー映画のように、淡々と演出しています。
また、リアリティーを醸し出すため、アル・パチーノ以外の俳優は、ほとんど無名の演技陣で固めています。その中の一人に、のちに『アマデウス』のサリエリ役でアカデミー主演男優賞を受賞した、F・マーリー・エイブラハムが、同僚の刑事役で強烈な印象を与えています。

『信念を貫く』か『長いものに巻かれる』か?

私がこの映画を初めて見たのは中学生の時でしたが、信念を貫き正義を行使した側のセルピコが、なぜ警察を辞め、逃げるようにアメリカから出ていかなければならないのか? と憤りを感じたものです。
しかしながら、大人になり観直すとセルピコの正義感が押しつけがましく、多少ではありますが、鬱陶しい印象さえ受けました。
社会人になり、組織のなかで仕事をしていれば、現実的には『長いものに巻かれる』事でないと厳しい・・と云う考えに変わったからでしょうか。
何れにしても、色々と考えさせてくれる作品です。是非ご覧ください。
ご一読いただき、有難うございました。

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