大手ゼネコンに入社し、企業留学でMBAを取得した後、経営コンサルタント、教育サービス産業(上場)及び建設系企業(未上場)で取締役を10年経験する。2005年、MBOにより株式会社オズペックを設立し、代表取締役社長に就任。
経営コンサルタント、経営企画・管理、人事・総務、営業・販促・営業管理、企業統治(取締役3社経験、計10年)
瀧嶋:
まず、INFLUX社の洋上風力発電の取り組みについて教えてください。
植村氏:
INFLUXは4年前の2018年に設立された会社で、日本で初の洋上風力発電のベンチャー企業です。開発・設計・施工、そしてその後の20年ほどの運用までを一気通貫して行う事業者となります。
世界的なインフラファンドと協力関係を築いており、プロジェクトを開発するうえでの内容の充実が強みの一つです。国際的な専門チームを作り、海外技術の知見を導入しながら、洋上風力発電という新しい事業を推進しています。
また我々の事業の大きな特徴は、洋上風力発電だけが目的ではなくて、それよりも先に地域密着、地方創生を重視している点です。将来洋上風力発電プロジェクトが立ち上げられそうな地域に、いち早く進出して支店を作り、地域との良い関係を築いて行きたいと考えています。現在、全国に11支店を展開しており、地元の皆さんと一緒に地方創生に取り組んでいるところです。
次世代の再生可能エネルギーとして洋上風力発電は期待されている。
(写真はイメージ)
瀧嶋:
現在の日本の洋上風力発電において、どのような課題を感じていらっしゃいますか?
植村氏:
あるシンクタンクの試算によると、日本では、2030年には約6ギガワットの洋上風力発電が運用されるだろうと言われています。これは、原発6基分、およそ3兆円の総事業費になります。
この数字だけを見ると、かなり大きな規模の産業になると思いますが、海外に目を向けるとさらに大規模になります。
例えばドイツは30ギガワットを目標に掲げています。さらに米国や英国も日本の5倍以上の計画が進められていますし、台湾では日本の3倍くらいの計画になっています。韓国やベトナムでも日本以上の数値を掲げている状況です。
日本のマーケットが、こうした海外と比べて劣後しないようにしていきたいという課題意識はありますね。そのためには、「人材の流動化」が必要です。欧米では、このような新しい産業が始まるときは、「うねり」のような人の流入があります。しかし、今の日本の洋上風力は「うねり」と呼ぶには程遠い状態で、どこの会社も人員不足に苦しんでいます。終身雇用制の負の側面でしょう。もっと雇用の流動化を進めないと、国全体が遅れをとるばかりです。
瀧嶋:
そんな中、INFLUXはどういった戦略で洋上風力発電を広げていこうとお考えなのでしょうか。
植村氏:
やはり、地域密着に力を入れていきます。洋上風力発電は、地元の漁業関係の方、行政の方、住民の方など幅広い皆様のご理解が必要です。
再生可能エネルギーとしての洋上風力発電は、CO2を削減し地球温暖化に貢献できるというのが一番のミッションなのですが、それ以外にもさまざまなメリットがあります。
例えば、メガリスクの回避です。福島原発事故のような大きなリスクを回避することができますし、また今、世界情勢が不安定な状況ですが、万が一、海外から天然ガスが輸入できなくなった場合のリスクも考えられます。自国で再生可能エネルギーを生み出し、自国で利用できるという地産地消のメリットは大きいのです。
そうした洋上風力発電の意義を、地元の皆さまと共有しながらプロジェクトを進めて行きたいと思っています。
着床式洋上風力発電だけでなく、浮体式洋上風力発電も準備する
(INFLUXウェブサイトより)
瀧嶋:
そうなると、かなり長期の先行投資型プロジェクトになりますね。そのようなプロジェクトにはどのような人材が求められるのでしょうか。
植村氏:
洋上風力発電は、今受注できたとしても実際に風車が回り出すまでには、8年程度の時間が必要となります。なので、長期の視点でものを考えられる人がいいですね。またチームで動きますので、チームプレーができることも重要です。
洋上風力発電は、まだ若い業界です。既成概念にとらわれず貪欲に可能性を考えていく人がいいなと思います。不可能と思われがちなことでも、よくよく考えてみると意外な答えが見つかるということがよくあるのです。
日本は四方が海に囲まれていて、ポテンシャルが非常に高いです。海底に柱を立てる着床式だけでなく、海上に浮かべて碇で固定する浮体式の研究も進んでおり、今、準備を始めています。
ぜひ、求職者の皆さまにもこの新しい産業に注目いただき、飛び込んできていただきたいと思います。
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